一般社団法人デサイロは、日本たばこ産業株式会社(以下、JT)のコーポレートR&D組織・D-LABの「心の豊かさ研究」の一つである「声遊楽プロジェクト」の運営パートナーを務めております。本プロジェクトは、「声を発すること」や「聴くこと」を、それぞれの人が好きな形で日常的に楽しめる社会を目指しており、以下のようなリサーチテーマを掲げて活動しています。

「声」は日常に溶け込みながらも、自己と他者、話者とキャラクター、あるいは人間と機械の境界を映し出す興味深いメディアです。いま、ポップカルチャーにおける人間の声の技術の発展と、工学技術の進歩が相まって、声にまつわる様々な“間”がゆらいでいます。

なかでも、ポップカルチャーなどにおける人間の声の技術や、音声合成・声質変換などの工学技術の発展は、「自己と他者」「話者とキャラクター」「人間と機械」などの境界を曖昧にしており、様々な問いを喚起しています。

1. 自己と他者の“間”を問う:どこまでが「私の声」なのだろうか?

  • 私たちは声を発する時、自分の声を常に聞いているため、声は「私らしさ」を規定する重要な1つの要因たりえる。そして声は、人間の声の技術、あるいは声質変換のような工学技術により「変わる/変える」ことができる。これは声に基づいた「私らしさ」をも変わる/変える可能性を秘めている。

2. 話者とキャラクターの“間”を問う:どこまでが「その人の声」で、どこまでが「そのキャラクターの声」なのだろうか?

  • 私たちは声を聞いた時に,話者がどのような人なのか、あるいは誰なのかといった「その人らしさ」に関する情報を知ることができる。そしてアニメや2.5次元文化、VTuberなどのポップカルチャーにおける人間の声を考えると、声に感じる「その人らしさ」は、話者とキャラクターそれぞれに対して生じうる。

3. 人間と機械の“間”を問う:私は「誰と」話しているのだろうか?

  • 我々は声を聞いて、その“背後”に人間を想像する。その意味でも、発する「人間」と声は深く結びついたものであるが、音声合成技術の発展に伴い、人間ではなく機械が発する音声が日常的に使われるようになってきている。そして技術が十分に発達すれば、コミュニケーションの相手が人間であるか機械であるか、少なくとも声だけでは区別がつかない状態が訪れる。

4. 技術と社会の“間”を問う:声の技術と社会のよりよい関係性とはどのようなものだろうか?

  • ポップカルチャーにおける人間の声の技術と、音声合成や声質変換などの音声工学技術はいずれも、社会の中にあるもの、あるいはこれから社会に実装されていくものである。そのため、それぞれの技術と社会との関係について検討することは、重要な声にまつわる問いとなる。