株式会社UnlocXと連携し、2025年1月から3月にかけて全8回のレクチャーシリーズ「FoodScopes: 人文・社会科学の視点から、新たな『食の価値循環』を探求するプログラム」第1期を開催。また、第1期の好評を受けて2025年7月から10月にかけて第2期を開催しました。
取り組みの背景
「“フードテック”は私たちの何を満たすのだろうか?」──本講座の出発点には、そうした問いがあります。
「植物性代替肉」「培養肉」「植物工場」、食領域のGAFAとも言われる「キッチンOS」「パーソナライゼーション」……「食」を取り巻くビジネスやテクノロジーは、日々目まぐるしい変化を遂げています。こうした変化の波を捉え、人々にとって価値あるサービスや商品を提供していくためには、もはや「フードテック」という一過性のトレンドを追い続けるだけでは不十分です。トレンドはすぐに陳腐化し、移り変わっていく「表層」にすぎません。
現代の「食」を取り巻く社会システムは、歴史的にどのような変遷を経て今に至るのか。過去に人類はいかなる理由から、どのように意思決定を積み重ねてきたのか。現在の私たちはどのような未来でありたいのか……いまの社会や人々の「深層」を捉え直す「Scope(レンズ・視点)」のもと、人類社会に不可欠な「食」という営みを問い直す必要があります。
その際、「人文・社会科学」の知が強力なコンパスとなります。哲学、倫理学、美学、宗教学、人類学、歴史学、文学……「人文学」と呼ばれる分野は、人間あるいは人々が織りなす社会のあり方を根源的に問い直してきました。政治学、経済学、経営学、社会学……「社会科学」と呼ばれる分野は、人間を取り巻く社会システムの構造や成り立ちを分析し続けてきました。
こうした人文・社会科学の知を横断的・多角的に参照することで、既存の食の価値循環のあり方を根源的に問い直し、これから求められるあり方へと再構築していくことが可能になるはずです。
講座の特徴
①短期的なトレンドではなく、食という営みの「深層」を探る
本講座では、人文・社会科学という強力なコンパスの導きのもと、一般的なビジネスやテクノロジーのトレンドからは見えてこない、「食」という営みの「深層」を問い直す「Scopes」を獲得していきます。表面的なトレンドに踊らされず、どんなトレンド変化に対しても対応し得る“土壌”を耕します。
カリキュラムは、ミクロからマクロまで、食を見る視点を切り替える6つのスケールによって構成されています。従来の「食の教科書」等ですでに体系化されている知を学ぶのではなく、物事の見方を獲得することで、あらゆる場面で応用が効くようになります。
②新規事業開発やR&D戦略における強力な「Scopes」を獲得する
既に食領域におけるビジネスでは、新規事業開発やR&D戦略において、人文・社会科学の活用が始まっています。
まだ声があがっていないが、確実に存在するニーズや価値を発掘する。食材の歴史を遡り、歴史上の価値の変遷を振り返ることで、未来に向けてその価値がどう変化するかを導出する。「外国語」で伝わってくるキーワードについて、国内外の思想史や宗教・文化まで理解した上で言葉の世界観を理解し、日本の文脈に当てはめて腹落ちすることで、そのキーワードの自社戦略への意味合いを考える。
本講座は、そうしたビジネス上のシーンにおける強力な「Scopes」を獲得する機会にもなるはずです。「サステナブル」から「リジェネラティブ」へ、「未来予測」から「未来共創」へ──求められるものが変わりつつあるいま、物事を根源的に問い直す人文・社会科学の知は、代えがたいよすがとなります。
③気鋭の研究者たちによる濃密な“知のシャワー”
本講座には全13名の気鋭の研究者たちが揃い、週1/3時間×8回の集中プログラムで受講者たちの「視点」や「視座」、「ものの見方」そのものを根底から揺さぶっていきます。
また、「食関連の専門家」と「他領域の専門家」の知をかけ合わせることで、食の内側/外側の両面から問うことも特徴です。従来の食に対する研究知、あるいはフードテックといった特定の技術を超えて、複眼的な視野・思考を身につけます。
④社会実装を見据えた「Scopes」を獲得する
とはいえ本講座は、現実から遊離した抽象論ばかりを展開するものではありません。
本講座では、研究者と受講者のみなさまの間の媒(なかだち)として、フードイノベーション領域を牽引してきたUnlocXと、人文・社会科学の研究者と多様なプロジェクトを生み出してきたアカデミックインキュベーターのデサイロがコーディネート。いわゆる教養講座とは異なり、社会実装を念頭に置きながら──もっと言えばその先の「社会浸透」まで見据えながら──人文・社会科学の知を通じて「深層」に迫っていくという点も、本講座の大きな特徴の一つです。
また「食」にかかわるビジネスに取り組む受講者のみなさま同士のネットワーキングの機会も設定することで、今後の事業推進への中長期的なインパクトをもたらしていきます。




