事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングル……一対の男女による結婚と出産を前提とする「標準家族モデル」では捉えきれないような、多様な家族のかたちが急速に広がっています。そうした変化の中で、「家族」や「結婚」といった言葉が指し示すイメージも、従来の常識とは異なるものになりつつあると言えるでしょう。
そもそも家族社会学を専門とし『結婚の社会学』や『事実婚と夫婦別姓の社会学』などの著書で知られる慶應義塾大学文学部准教授・阪井裕一郎さんの研究によると、「家族」や「結婚」という概念は決して固定的なものではなく、時代や状況に応じて移りゆく流動的なものに過ぎません。
家族のあり方が移ろういま必要なのは、新たな家族像「ネクストファミリー」の探求ではないか──そんな問題意識のもと、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(以下KGRI)は、2050年代における家族・パートナーシップ・つながりの多様化を研究テーマとした新組織「ネクストファミリー研究センター」(仮称)設立に向けた活動を開始。阪井さんを研究代表とする同プロジェクトにおいて、一般社団法人デサイロは企画・運営面で協力しております。
活動の第一弾として、「『ネクストファミリー』の時代の価値創造を考える」と題したセミナーイベントを2025年12月4日に開催しました。
本イベントは、近すぎず遠すぎない「2050年」を基点に、事実婚や同性パートナーシップだけでなく、友人家族、共同生活、非同居パートナー、複数世帯のゆるやかなネットワークなど、多様な生活・つながりの形を含む「ネクストファミリー」の未来像を描くことを開催されました。
- 家族単位に依存しない契約・保証制度(非婚住宅ローン、共同保険など)
- 複数人・複数世帯の共同居住や多拠点生活を前提にした住宅・賃貸モデル
- 友人・パートナー・コミュニティ単位の通信・会員制度・サブスクリプション設計
- 「婚姻・血縁」から「つながり」へ拡張された福利厚生・ケア支援
- 多様な生活単位を前提とした組織文化・制度・人的資本戦略
といった具体例を構想しながら、2050年モデルから逆算したとき、企業がいま更新すべき事業・制度・組織の前提とは何かを、研究者と実務家が議論を展開する場となりました。
本イベントを活動の第一弾として、KGRIでは「ネクストファミリー研究センター(仮称)」の立ち上げに向けて研究&社会実装活動を推進していきます。今後、多様な家族・パートナーシップに関する様々な産業分野の企業と連携し、実態調査/生活者インサイト探索、事業構想・製品開発プログラム、組織制度・カルチャーを再設計する経営構想プログラム、そして複数企業での共創を促すコンソーシアム、政策提言や社会発信の連携企画などに取り組んでいくことを計画しています。